2008年03月26日

成果主義について考える この記事をはてなブックマークに登録

ちょっと成果主義というのものに関して

少し前の日記で触れました。

読書ノート「東大で教えた社会人学」

参考として日経ビジネスオンラインの

「このままでは成果主義で会社がつぶれる」

を参照しつつ、成果主義について整理してみたいと思います。


[日本における成果主義導入の背景]

日本の給与システムは年功序列で決定されていましたが、
それは今まで経済が右肩上がりであり、人件費の拡大が可能であったからです。

しかし現在では多くの企業で成果主義が導入されました。

この導入について慶応大大学院 政策・メディア研究科の高橋俊介教授は、
90年代半ばから企業の中で45歳以上の社員の比率が増え始め、多くの企業は“このまま年功制で賃金を支払っていると人件費倒産する”という危機感を抱いた。そこで、人件費削減策を早急に実施しなければならなくなった(参照)

と言っています。不景気に対応するために行ったと言うことですね。

しかし導入したのは良いものの、いくつもの問題が浮上してきました。


[日本における成果主義の問題点]


・人材が育たない

 これはいくつか理由がありますが、一つは指導する、教育する側が自身の成果を重視するあまり人材育成が不十分になってしまうため。
そしてもう一つは成長する側が失敗することを恐れてさまざまなことに挑戦出来ないことが挙げられます。

前者に関しては川上真史さんが育成的視点の欠落として、
自分自身の数字を達成することが精一杯で、時間のかかる部下育成がおろそかになるということ

と指摘しています。(参照

・目標が短期視野
 
 基本的に結果を出すことに腐心するあまり、短期で結果を出すことしか考えず、中長期的な視点が欠けてしまう傾向があるようです。これは評価が短期の目標(一年単位など)によって決められてしまうこととも無関係ではないでしょう。

・モチベーション

 本来実力成果主義は本人の出した結果次第で給与評価が変わり、結果を出せば給料が上がるということにより、モチベーションを高める目的があると思います。

しかし実際にはそうでは無く、多くの人のモチベーションを高めるどころか、やる気を失わせているようです。NBOnlineによると、
「成果主義に基づいた人事評価制度は、あなたの仕事への意欲に影響を与えていますか?」と聞いたところ、「意欲を高めている」人は18%、「意欲を低めている」人は41.4%、「特に影響を受けていない」人は40.6%だった(回答者数は1082人)。意欲を低めていると答えた人は全回答者の半数以下だが、意欲を高めていると答えた人よりも2倍以上多い。(参照

というアンケート結果になっています。

・評価基準が不明瞭

評価基準に関してもアンケートにあったものを引用してみると、
「結局は人が評価するものであり、定量的な目標ならまだしも、定性的な目標は上司の主観が入る。達成していなくても、上司がよしと認めればよい評価がつき、いくら頑張っても外的な要因により達成できなかった場合、評価する上司によって評価の結果は違ってくる」
(課長クラス 40〜44歳)

 「相対評価になっている点が大問題であると思う。いくら目標を達成しても、職位(職級)別にAランクは何人、Bランクは何人、と決まっていてはやる気もなくなるでしょう。ほとんどの人がCランクになるのですから。
 そもそも目標自体も表面上は自分で決めることになっているが、ほぼ決められているんだから。面談もあるけど何にもなっていないですね」
(係長・主任クラス 35〜39歳)

というように評価に問題があるようです。

これについては、明確な評価基準が必要だと思います。

Twitterでmarco11さんが言っていたのは、
どこでどういう結果を出せばどのように評価されるか  これを明確に決めて、その基準を共有していないと何もはじまらないのは言うまでもない。(参照

ということで、成果主義で評価をする際に、評価基準を明示しなければ成果主義を採用する意味が無いということです。

ある目的の為に競争して何かをするのであれば、
参加者のルールがまずは前提として公開されていることが必要であり、そのルール、あるいは評価基準を踏まえて競争をすれば良いわけです。そうすればその評価基準によって下された結果に対しては文句を言えません。結果が全てであるんだけども、その結果がどうやって評価されるのかが事前に示されてあるのとそうでないのとでは大違いです。

ある程度評価基準が客観的なものであるのはもちろんですが、その基準によって当然労働者の行動基準も変わってくるので、何がその会社にとって評価されるものなのかという視点も重要なのでしょう。

もともとモチベーションを高めるのもありますが、優秀な人材を確保する狙いもあるはずですが、日本の成果主義システムはその意味でも有効に機能していないのかもしれません。

・チームワークの欠如

これはさきほどの評価基準とも大きく関連してくるのですが、基本的に成果主義が個人の行動を評価するものなので、個々人がばらばらになりチームワークが失われたと言うことです。


[成果主義に関する考察]

ここまで整理してみましたが、成果主義というのはもともとアメリカで
適用されていたシステムであり、それを日本が真似して導入しようとして、
現在のような問題がいろいろと発生してきました。

もちろん日本とアメリカの仕事文化は異なります。
端的に言うならば(不勉強で正確ではないかもしれませんが)
日本は従来の集団的な意思決定システムがあり(稟議制など)、
個々人の権限はあまり強くなく、トップダウンで業務が行われました。

それに対しアメリカは個人主義が徹底しており、個人の権限が強いです。

このような違いが日本が成果主義を導入することを難しくさせているのかもしれません。

こう考えてみると、日本が成果主義を今後しっかりと機能させるためには、
基本的なビジネス文化を変える必要があるのだとも考えられます。
これを検討するためにはグローバルビジネスについても考えなければなりません。
アメリカ的なビジネスがスタンダードなのだとすれば日本は
そこにどうやって適応していくのか。


そもそもあるシステムを導入するには、それ以前にそのシステムを
成立させている要素を考える必要があると思うんですが、そこらへんを
考えなければいけないのでしょう。その要素が無いのに導入しようとしても
それは意味が無い。あるところで上手く言ってるからと言って他方で
上手くいかないことがあるというのはそのためです。

アメリカにおける成果主義が良く分かっていないのでどうしようも
ないのですが(すみません…)少なくとも評価基準を明確にするのは
必要不可欠なことです。中長期的な視野をしっかりと考慮する必要が
ありますし、人材の育成も重要です。

この日本とアメリカにおけるビジネス文化の違いや、
アメリカの成果主義について詳しい方がいれば教えていただけると幸いです。
posted by Jack at 05:09 | Comment(0) | TrackBack(1) | 就職・インターンシップ・大学院 | このエントリーを含むはてなブックマーク |
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成果主義
Excerpt: 日本人に成果主義は合いません。実力主義であるといいながら実質年功序列を維持している会社が多いこと、利益にならないと知りながら製造を続ける工場主が多いこと、ノーベル賞をくださいと手を上げる人間が少ないこ..
Weblog: cucuダイアリー
Tracked: 2008-04-14 07:31
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