2008年02月18日

コソボ独立宣言と、それに対する影響などへの考察 この記事をはてなブックマークに登録



現地時間17日午後、コソボ自治州議会において独立宣言が採決されました。

コソボではNATOによる1999年の空爆を含む紛争があり、
その後も独立などを含めEU、米、露の仲介による交渉が進められて
きましたが、去年の末に決裂。今回はその延長として自治州から独立国への歩みを正式に始めることになります。

EU、米などを含む大部分の国々でこの独立は承認される見込みですが、
セルビアとロシアは断固反対姿勢を見せています。


簡単に復習しておくと、
コソボはセルビア共和国南部に位置している自治州であり、
南西部でアルバニア、南東部でマケドニアに接している地域です。

この自治州では、住人の構成がアルバニア系約九割、セルビア系が一割
というアルバニア系多数の地域であり、それが紛争の原因にもなりました。
そして以前よりセルビアからの独立を試みて来ました。


今回の宣言に関して考えたい事が二つあります。

一つは宣言後の影響について。
まず考えられるのがコソボ内でのアルバニア系による
少数派セルビア人への弾圧強化です。

それを懸念してかセルビアの他地域へ逃げるセルビア系住民もいるよう。(参照


また、他国内で独立を試みている地域に刺激を与えることも
懸念されます。

東京新聞が詳しく触れていたので参考に一部抜粋してみると、
コソボ独立宣言 民族主義“飛び火”懸念

 コソボ南隣のマケドニアでは、政府軍とアルバニア系武装組織との戦闘が沈静化して間もない。マケドニア政府は国内アルバニア人の感情があおられないかと気をもむ。グルエフスキ首相もコソボの国家承認には「国益の観点から情勢を注視したい」と歯切れが悪い。

 二千キロ離れたスペイン北西部バスク地方からの視線も熱い。同地方はスペインからの独立を求める非合法組織「バスク祖国と自由」(ETA)が活動し独立志向が強い。地元紙は連日、コソボ情勢を報じる。飛び火を恐れるスペインは、EUの方針に反してコソボの承認は拒否する構えだ。

 キプロスやクルド、アゼルバイジャンのナゴルノカラバフ自治州など、同様の争いを抱える地域は数多い。

独立後アルバニアと合併するようなことは無いと言われていますが、
こうしたことを心配してか、EU加盟国の一部では独立を承認しない国もあるようです。



もう一つ気になるのがロシアの反応です。
同じスラブ民族としてセルビアの動きを支持しようとする
流れはあるのかもしれませんが、ただそれだけでこのような
反応をするのは少し納得がいかないというか違和感が残ります。

いくつかの思惑があるのだと思いますが、
少しこれはロシアのエネルギー戦略と関わってくる部分があるのかな
という気がします。

asahi.comより全文転載してみると(参照)、
ロシアとセルビアは25日、ロシアの天然ガスを黒海を経てイタリアなどに輸出する南欧ルートのパイプラインをセルビア領にも建設することで合意した。モスクワでのプーチン・ロシア、タディッチ・セルビア両大統領の首脳会談の後、合意文書が調印された。

 天然ガスの直接輸出を通じて南欧地域への影響力拡大を目指すロシアは、18日にブルガリアの同ルート参加で合意したのに続いて外交上の得点をあげた。首脳会談でプーチン氏は、「セルビアからのコソボ自治州の一方的な独立に反対する」と改めて表明。こうしたロシアの政治的支援を必要とするセルビアと、ロシアの経済的利益が一致した形となった。

 合意によると、両国は今後30年間にわたって石油と天然ガスの分野で協力を推進。ロシアはセルビア領に全長400キロのパイプラインを建設するほか、セルビア唯一の石油供給・精製会社の株式の51%を取得する。また、セルビア国内に設ける3億立方メートル規模のガス貯蔵施設の整備や運営にも関与してゆくという。


地勢的に言うと、ロシアから黒海を越え、
ブルガリア→セルビア→イタリアという一本道が出来るわけで、
セルビアはブルガリアに続いて重要な拠点となるわけです。
パートナーなんですね。

そういう意味ではセルビアの味方をするというのは当然と
言えるのかもしれません。


EUはもちろんコソボのEU加盟、その後将来的にはマケドニア、クロアチア、
アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、そしてセルビアをも
メンバーにしようと考えているのではないでしょうか。

今回の独立プロセスはEUの大きな影響下において
進められます。経済的にコソボは経済後進国なのでそういった点での
改善も視野に入れられているのでしょう。


独立宣言で一つポイントなのが世俗的で他民族な国家という部分です。
アルバニア人はオスマン=トルコの影響下にあった背景で
ムスリムが多数を占めている一方、セルビア人は正教会系です。
その為宗教色を出さない世俗と言う部分は重要でしょう。
他民族というのもセルビア系に対する排斥運動を国家が容認しない
という意味で必要不可欠です。(参考



最後に僕が持ってる疑問を少し。
ロシアが反対する理由の一つとして国際法に反するという
のを挙げていたのですが、これは本当なのでしょうか。
この辺は良く理解していないので、知っている方がいれば
教えていただきたいと思います。
posted by Jack at 10:37 | Comment(2) | TrackBack(3) | 時事・社会 | このエントリーを含むはてなブックマーク |
この記事へのコメント
すいません、Fatal Error サインが出るため、リロードしていたら、二つもTBをしてしまったようです。

=====

あらためて、、、はじめてコメントいたします。今回のコソボ独立宣言に対するロシアの反応について調べていて、こちらにたどり着きました。日本ではほとんど注目されていないポイントですが、国際政治全体の動きからすると、相当に重要な観点だと思います。
Posted by コンドウ at 2008年02月24日 13:21
コンドウさん、
コメント、トラックバックどうもありがとうございます。COURRiERのブログの方でもコメントをいただき、恐縮です。

僕も国際政治について勉強中の身なので、ロシアについても今後勉強出来ればと思います。
Posted by From管理人 at 2008年02月26日 03:30
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コソボ独立宣言 ロシアから見ると・・・
Excerpt: 2月17日、セルビア共和国のコソボ自治州議会が 独立宣言を採択しました。 コソボはもはやセルビアの一部ではなく、独立したひとつのクニになる! という宣言です。 コソボの独立への意思は 以前から明..
Weblog: 別館 ユーラシア現代史総合研究所
Tracked: 2008-02-24 10:20

コソボ独立宣言 ロシアから見ると…
Excerpt: 2月17日、セルビア共和国のコソボ自治州議会が 独立宣言を採択しました。 コソボはもはやセルビアの一部ではなく、独立したひとつのクニになる! という宣言です。 コソボの独立への意思は 以前から明..
Weblog: 別館 ユーラシア現代史総合研究所
Tracked: 2008-02-24 12:49


Excerpt: アゼルバイジャンアゼルバイジャン(アゼルバイジャン語: Az?rbaycan、ペルシア語: Āzarbāyjān)は、カフカス山脈の南、カスピ海の西南岸に位置する西アジア..
Weblog: 世界の旅
Tracked: 2008-02-27 05:02
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