2008年06月21日

リスボン条約批准に対するアイルランド国民投票の否決 この記事をはてなブックマークに登録

欧州憲法条約が2005年にオランダとフランスで否決されたのに続き、
先日リスポン条約がアイルランドでの国民投票によって否決されました。

オランダとフランスでは前回に鑑み、国民投票を行わなかったのですが、
(オランダは批准前、フランスは2月8日に国会で批准)
今回のアイルランドの否決によりリスボン条約の発効が
一歩遠退くことになりました。
国民投票を批准に際して行った(行う予定の)国はアイルランドのみです。

僕はこのニュースを知ったとき、なぜアイルランドがと疑問に思いました。
EU加盟以前は非常に貧しい国であったのにもかかわらず、EU加盟後は
著しい経済成長を遂げ、国民一人当たりのGDPもEU加盟国の中では
ルクセンブルクに次ぎ、二位という成長ぶりです。

EU加盟国中、小国ではEU加盟によってかなりの経済的恩恵を
受けている国なはずです。

それだけに今回の否決は、アイルランドが否決したのか、
と予想外でした。しかしそれは落胆や驚愕というよりは、
どうして否決されたんだろうという疑問の方が強いです。

国民投票の投票率を見ても、53.1%は低い数字だし、
そもそも国民がリスボン条約やEUのこれからの動きを
理解していなかったことが原因なのかもしれません。
分らないままにYesと言うのにも抵抗があるからです。

各国の国民がEUに対して関心が薄いというのは全体の傾向として
あると思います。そもそも各国の枠組みを超えて行われる政策が
あまりにも国民の実感とかけ離れているのも原因なのでしょう。
各国が国民を説得出来なければ国民投票で可決されることはありません。

リスボン条約は、これまでの全ての条約をまとめて一つの憲法とする
大きな欧州統合への一歩である欧州憲法が頓挫したのを受けて、
欧州憲法の主要な変更をそのまま残しつつ、憲法の形は取らない条約でした。

最後に発効している2001年のニース条約では
2004年に加盟した十カ国、2007年に加盟した二カ国を加えた
27カ国の加盟国による意志決定プロセスに対応しきれず、
そうしたことを改善するためにも新たな変更が求められています。
2010年には、今後の加盟交渉が順調にいけば、
クロアチアとマケドニアが加盟予定です。

全会一致の意思決定は現27カ国ではかなり難しく、
今後は特定多数決方式が採用される分野を拡大することや、
特定多数決方式自体を簡素化することもリスボン条約には
盛り込まれていました。

欧州のさらなる統合は経済発展などの良い面ばかりではなく、
移民問題や、小国では大国に負けることによる経済停滞などもあります。

そうしたマイナス面も解決しつつ、国民にEUがどういうものであるのかを
しっかりと理解してもらうのは非常に時間がかかることなのかもしれません。


一方、僕が旅行していて気付いたこととして、

ヨーロッパ人(European)としての意識というのは
徐々に国民に根付いていくのかもしれない

ということがあります。

例えば、不幸ながら僕は旅行中にスーツケースをスロベニアで破損し、
その場で旅行を中止にすることは絶対に避けたかったので、
Samsoniteというメーカーのスーツケースを買いました。

そのケースの全面に貼ってあるシールには、
”Made in Europe”(ヨーロッパ製)とあり、
ヨーロッパと言われてももしかしたら技術力の低い
国で作られたのだとしたら、信用できないじゃないかと
思うのと同時に、こうしてヨーロッパ人としての意識が
芽生えていくのかもしれないなと感じました。

イタリアの電車の窓ガラスにはEurograssとあったりもしたし。

また、シェンゲン協定というヨーロッパ諸国間の人の自由に関する
協定に加盟している国(イギリスを除く)では、EU加盟国の人々は
IDを見せるだけで出入国審査は必要ありません。

また、デンマーク、スウェーデン、イギリスを除くEU加盟国では
Euroを使うことが出来、両替をする必要がないので便利でした。

こうした根本的な変化が徐々に国民意識を変えていくのかもしれません。
posted by Jack at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事・社会 | このエントリーを含むはてなブックマーク |
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