2008年02月13日

子供をロボットが世話する時代は来るのか? この記事をはてなブックマークに登録

以前紹介した

Scandinavian Welfare Model and Gender Relations;
スカンディナビアの福祉モデルとジェンダーの関係

授業では今回から担当の新しい先生で、
彼女の専門である、「介護」(care)について扱いました。

介護といってもかなり幅広い定義で、
ある人が他者(多くの場合は援助を必要としている)に対して
差し伸べる助けのことです。

具体的に扱うのは、主に他者の援助が無しに自立的生活が行えない者
に対する介護であり、障害者、高齢者、乳幼児が対象です。

講義の内容を追うのも良いのですが、
今回は面白かった部分について書いていこうと思います。


従来、多くの社会で介護は女性が行うものでした。

介護は大変負担のある仕事ですが、無償で妻が行ったり、
安い賃金で女性が行ってきたのです。

そこには男女間での分業が存在し、
女性の賃金は男性のそれよりも相対的に低い状況でした。
例えば医者は男性の仕事で、看護師は女性の仕事というようにです。
これは今も変わりませんし、従来使われてきた看護婦という言葉が
明示する通りです。

市場にとって女性は男性よりも安価な労働力だった訳です。

しかし女性の社会進出が進められると、男女間の賃金差が
縮小します。これが特に進んでいるのが北欧諸国なんですね。

では介護に対する報酬はどうか。

未だに低水準のままなのです。
重労働低報酬下で働きたい人は少ないですよね。

その為介護に従事する労働者が減るんです。これは日本でも
同じような現象が起きていると思います。

でも高齢者は増えるばかりだから、介護に従事する労働者が
更に必要となる。どうするのか。

海外から労働者を引っ張ってくるんです。

経済的に未発達な国から先進国に出稼ぎに来るように、
彼らにとって、例えばノルウェーにおける低賃金は十分な
収入になる訳です。だから割の合わない仕事でも引き受けてくれるのです。

従来介護の領域で働いてきたのが女性だったわけですが、
先生はこれを第一世代と言い、海外労働者達のことを第二世代と
呼びました。

日本の場合だと、フィリピンから介護などに従事する労働者を
受け入れるような議論がされていた気がします。
北欧では主に中東やアフリカ系が多いようです。

だから今現在は第一世代から第二世代へと移行しつつ
あるんですね。多くの国で。


では更に考えて次の世代はどうなるんだろうという疑問が。

先生はロボットかもしれない、

と言っていました。高齢者の介護なんかで、ロボットが
話しかけたりするような光景をイメージしてごらん、
と冗談で言ってたんですけど、ノルウェーでは
どうやらそういう議論もあるみたいですね。

例えばこれのこと言ってるのかなと思ったり。
ノルウェーは今後5〜10年のうちに、医療福祉関連の人員不足が深刻化する見通し。2020年には第二次世界大戦後に生まれた「ベビーブーマー」世代の大量退職で危機的状況を迎える。

 こうした中、高齢者介護の助けとなるロボットなどのハイテク装置開発を目指し、2つの労働者団体が手を組んだ。

 「テクノロジーは今後も、医療分野で労働者が抱える問題の一部解決に貢献するだろう。さらに、自宅で長生きする手助けもしてくれるかもしれない」。ノルウェーの自治体代表グループの責任者、オラフ・ウレレン氏はこう話す。(高齢者介護のヘルパーロボット、ノルウェーで開発へ:参照


高齢者介護を担う労働力として機械を導入しようと。
人間よりもはるかに低コストです。
(機械の導入にかなりのコストがかかるので単純に比較は出来ませんが)。

もちろんばかげてるとか、高齢者を機械に任せるなんてけしからん!
という反論が来ると思いますが、これに対しては、
ウレレン氏によると、新技術の目的は、人的介護と優しさの代替を提供することではなく、介護者を増やせない状況で、追加的な支援を提供することだという。

 「誰でもできるだけ長い間、自分の面倒は自分で見たいものだ。目的は、高齢者介護の責任を取り除くことではない。ただもう1つ新たな次元が加わるにすぎない」と同氏は言い、家事にハイテク機器を使えば、人による介護にもっと心がこめられるだろうと説明した。(引用元同上)

という説明がなされています。

現実的な話をすると、このロボットというのも日本人がイメージしやすい
ドラえもんのような人型ロボット(猫型ロボットだっけ 笑)
ではなく、より今の家電に近いものだと思います。

掃除機でも勝手に動いて掃除するやつとか既に出てますからね。
そういった介護に必要なある一つのタスクをロボットで代替する、
あるいは被介護者の自立を促す手助けをする、
というのがこの記事の話なのでしょう。

少し調べてみると、手を自由に動かせない人のための食事補助
のような機械(参照)が既に実用化されているようです。


では育児(child care)はどうでしょうか。
高齢者の介護が家庭内で行われることが少なくなってきている今、
育児が家族内での介護の最後の砦なわけです。

育児も介護と同様に母親が中心的な役割を
担ってきたことには変わりはありません。

もし高齢者など育児以外の介護の場合のように、
女性(乳母を含む)⇒海外労働者のような流れがあるとしたら、
ロボットが育児に従事するようになる可能性もあるのかもしれません・・・。


個人的にはあまり想像したくありませんね。
やはり育児は家庭で行うのが理想でしょう。


育児はどうあるべきかというような問いにもつながって
来るでしょうが、福祉社会では育児をどのように捉えるのか、
それをもう少し詳しく考えたいです。




posted by Jack at 22:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学・学問 | このエントリーを含むはてなブックマーク |

2008年02月10日

読書ノート「東大で教えた社会人学」 この記事をはてなブックマークに登録

ちょっと読書の感想を書いておこうと思ったので、
日記にします。

今回読んでいるのは、
「東大で教えた社会人学[人生の設計篇]」
(文芸春秋 草間俊介、畑村洋太郎著)です。


まだ読み終わってないんですが、とりあえず途中までの感想を。


これは東京大学工学部での「産業総論」という講義を本にしたもので、
各項目ごとに畑村洋太郎氏がコメントの文章を添える形で構成されています。

講義を直接見たわけではありませんが、
書籍では畑村氏のコメントがあったり、文章としての体裁が
しっかりしているのではずれはないです。
なかには雑談に価値のある講義もあるのでしょうけど、
書くものは一流でも話すのが下手だったりする人もいるので(笑)


立花隆さんとかは自著の冒頭で授業よりも書籍の方が明らかに
優れていると言っています。(データ的にも充実しているとか。)


著者によると、工学部の学生があまりにも専門分化された技術論
ばかりを扱い、「産業や技術の全体像を立体的にとらえる視点」(pp.6)
が抜けているため、産業界において産業の方向性などを考える
広い視野を持つ人材がいないという懸念があったようです。

そのため、技術者の中にもジェネラルな視点を持った人材を生み出すという
考えがこの講座にはあります。
端的に言うと「社長になれる技術者」を作りたかったということだそう。

社長などの経営者となるためにはマネジメント能力や、会社の組織について
精通している必要があり、技術者として勤め続けていても身につかないこれらの
能力を意識的に磨かなければならないですからね。


ということで、この本はこれから工学部を出て技術者として企業に勤務する
人を対象としています。

しかしそれは別に彼らだけに限られたことではなく、普通に働いていく過程で
経験することでもあります。これから生きていく時代について考えたり、
会社をどう選ぶのか、人生設計はどうするのか、老後はどうか等々。

そもそも働くというのはただ企業に勤めるだけでなく、
社会、時代の状況に大きく影響を受けるものです。

高度経済成長期であればただ前を向いて互いに励ましあって働いていれば、
給与は上がっていったし、終身雇用でリストラの不安もありませんでした。
(団塊世代ですね)


しかし今はどの産業が伸びているのか、あるいはどれが斜陽産業なのかを
考えたり、働く上でいかに自分の市場価値をいかに高めていくのか、
キャリア設計はどうするのかなどを考えなければいけません。


もし考えなければ結果は一目瞭然です。
企業と一緒に共倒れになったり、自らの市場価値を高めていかなかったがために
職にあふれたり、非正規雇用に甘んじたりして、社会的に言えば下層へと落ちる
ことになります。

政府が、国がどうにかしてくれるというのは幻想です。
年金制度は崩壊しつつあり、社会保障などのセーフティネットは十分に
機能していません。

怖い話かもしれませんが、現にそういう危機感を持ってしっかりと
将来のことを考えて今から準備していかないといけないと思います。



感想に戻ると、
本書は六章立てになっていて、僕が読んだのは1〜3章までです。

一章では、日本の今の時代における状況や今後について議論がなされます。
財政赤字が進み、借金が一千兆円を超えたことや、
(本書の時にはまだ超えていませんでしたが今は超えています)
少子高齢化で労働人口が減ることによる年金制度の崩壊、あるいは
労働力の質の低下が言われています。


人材育成は従来、企業で行われてきました。
しかし、「今やその構図は崩れ、効率重視の企業は人材育成に手間をかけるよりも
容易に即戦力を求めるようになった。」(pp.28)と指摘されるように、
キャリアデベロップメントをしっかりと行える機会が減り、
一方で特定のスキルなどを持たないフリーターが増えてしまっているのです。


なんかどこかの雑誌か何かで、即戦力となる社員を募集!みたいな
のが新卒社員募集のフレーズとしてあったんですが、そういう風に学生に
まで即戦力の波が迫ってきているというのも少し驚きです。
もしもしっかり将来を見据えるなら、十分にスキルを磨くことが出来る
職場を選ぶのが懸命でしょう。


労働人口の低下に対する問題に関連して移民を受け入れるという議論が
ありますが、僕はそれよりもまずは日本で非正規社員として働いている人々や
ニートなどの労働者予備軍をしっかりと教育してスキルを高め、
働けるようにする方が先だと思います。


フリーターはどうしていつまでもフリーターかというと、
やっぱり責任の有る仕事は回されないわけです。単純な作業が多くなるし、
しかもその技術というのは汎用性が無くて他の業種に活かせなかったりする。
そういう人材はいくらでもいるわけですから、
フリーターに高い給料を払えるはずもありません。


面白かったのが、
技術のブラックボックス化という話です。

今現在日本の技術は世界水準的にもトップにあるわけですが、
中国やインドなどが追い上げてきており、例えば中国が日本の技術を盗むという
ようなことが実際にあるわけです。
(というより模倣といった方が語弊が少ないかもしれません。)

しかし日本が世界に誇れるものは高度な技術力や高生産性であるので、
それが流出しないように守ることが非常に大切です。

そこで出てくるのが技術流出を防ぐ「技術のブラックボックス化」というもので、
見せない、しゃべらない、触らせないという新三猿のことを言うそうです。
(三猿は日光にありますよね。見ざる、聞かざる、言わざる。)


面白かったのが最後の触らせないと言う部分。

「触らせないことは一番重要だ。頭の切れる開発者は技術を見ただけで、ある程度のシステムが理解できる。でも、実は本当の意味で理解できるのは、技術に直接手を触れて、肌合いや温度や振動などの感触を実感したときだ。」(pp.49)

これはびっくりしました。



また、大企業と中小企業のどちらに勤めるのかという話があり、
そのメリットやデメリットを挙げられています。以下に挙げてみます。

<メリット>


大企業:安定感、給与水準、福利厚生、労働環境などの待遇
    システムとして完成しているので様々な知識や経験が身につく

中小企業:成長余力がある、様々な挑戦の出来る場がある、成長の醍醐味を感じられる


<デメリット>

大企業:成熟期から衰退期へと移る企業が多い(*1)、保守的

中小企業:社長の手腕に大きく左右される(*2)、不安定


*1:企業の繁栄期間は約三〇年という有名な説があるそうです。
*2:社長の器以上に会社は大きくならないと言ってるのは驚きです。



就職活動をするときには
実際にこういうことをしっかり考えることが必要になりますよね。
わざわざ斜陽産業に入るというのはそれなりに覚悟が要ることです。


実力成果主義の導入の弊害についてもかなりコンパクトに
書かれていたのでいくつかポイントを。


やはり年功序列的な賃金システムを維持できず、
成果主義を導入したというところが多いようです。

つまり給与総額はそのままにして、ある人は上がり、
ある人は下がるというゼロサムゲームだと。


そして問題として評価制度が確立していないことが挙げられます。
短期で見るか長期で見るかによっても違いますし(多くは短期評価のようですが)
評価者がまだ未熟だという指摘もあるようです。


と言う感じで残りも読んだら感想を書きたいと思います。
読んでて思ったのは、こういうことってあまり学校でもやらないし、
意外と知らないことが多いなということですね。
お金に学ぶという続編の方は先に読んだんですが、
こちらも面白かったです。


posted by Jack at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 批評〜書籍・映画・ドラマ〜 | このエントリーを含むはてなブックマーク |

2008年02月04日

「三期生」としての役割 この記事をはてなブックマークに登録

国際教養大学もこの冬で、
めでたく初めての卒業生が出るということで、
それにつけて「三期生」の役割って何だろうなと
考えてみたいと思います。

なぜ三期生ではなく「三期生」としたか言うと、
現在僕は大学二年生(新三年生)で、その意味では
二期生(つまり二年生)なんですが、大学が創立3年目に入学した
ということで「三期生」と呼ばれているからです。
だから僕の一年後に入学した学生は四期生と呼ばれることになります。

ちょっとややこしいかもしれませんが、
とにかく国際教養大学は出来てまだ四年経っていない大学です。
僕がこの大学に興味を持ったのも出来てばかりの大学であるため、
自分たちで作っていけるという思いがあったからでした。


一期生(つまり初代)はもちろん先輩もいなくて、
何から何まで自分たちで切り開いていかないといけませんでした。

例えるなら、何も無いところに道を作っていくのが
一期生の役割だったと言えるでしょう。

それはものすごく重い責任があったと思うし、
さらにそんな中、大学初めての就職活動をして内定を獲得したり、
大学院への進学を決めました。

内定が決まった企業先というのも学内情報として知らされましたが、
有名企業が多くあり、これも先輩方の努力や進路指導室の活躍の
おかげなのかなと思っています。


そして二期生はというと、一期生が作ってきた道を進みながら、
新しく入ってくる僕たち三期生を後輩としつつ、
先輩が作ってきた道を広げ、後輩が通りやすくするような
役割があると言えると思います。

あるいは先輩と後輩との板ばさみになる、
会社で言う中間管理職のようなつらい部分も
その役割の中にはあるのかもしれません(笑)

もちろん僕らもこれからそういう部分を
さらに経験していくことになるとは思いますが。



では「三期生」はどうかというと、
考えられるのは二つあるのかなと。

一つは、先輩たちが作ってきた道を更によりいっそう
磐石なものにすること。(※)

どういう風に磐石にするかというと、
例えば部活動や委員会の気風を作るとか、
勉強や就職活動などでの情報のネットワークを作る
などでしょうか。


もう一つは、どちらかと言えば補足的なものなんですが、
その道がしっかりと先へとつながっているのかを見極めること。
あるいは道が良い方向に進んでいるかを考えるということです。

三年目ということで、一期生とは直接学年が接しておらず、
より客観的に先輩たちが歩いてきた道を見つめることが出来る
という面があるのかもしれないと思うわけです。


それで今考えてるのが、
ずばり就職活動です。多くの学生が留学を終えて
帰国後すぐに就職活動を始めるという状況になっているので、
しっかり計画された準備が重要になってくると思っています。

大学が積極的に就職活動を支援してくれているというのはありますが、生徒間の情報ネットワークというのは他の大学に比べて
まだまだ弱いのかなと思っています。
そしてそうした活動を三期生が中心として行うことが出来れば、
自分たち自身のプラスにもなるし、今後の後輩たちが通ることにも
なる就職活動の道が磐石なものになるのではないでしょうか。

そして、そういうことに対して何か出来ることはないか
と僕は考えているところです。


話は変わりますが、僕の大学では進路指導室を中心として、
就職活動にかなり力を入れていると思います。

一年生のころからキャリアデザインという授業を取ることも出来るし、
企業説明会や有名企業の講演会なども多くあります。

個人的にはタリーズコーヒーの松田公太社長の講演が
深く印象に残っています。講演の前半は英語で社長の生い立ちや
どうしてフード産業でビジネスを始めるようになったのかを話され、
その後日本語でタリーズコーヒーについて語っていただきました。

入学当初は英語で行われる講演というのにあんまり慣れられず、
英語で質問するというのも躊躇いがちだったんですが、
(もちろん日本人が講演者の場合は日本語で質問することも出来ます)
授業に出たり、意欲的に英語で話す先輩や友達を見るうちに、
そういうことにも慣れてきました。

こうして留学していると、やっぱり
授業中に発言するというのはよくあるし、
質問したりする場が多いため、そういうスキルは
自然とついてくるのかなとも思います。

ただ、やはり自分でしっかり考えて、
それを発言し、疑問をつねに持ち続けるという姿勢は
大切だと思うし、それは日本でも同じなのでしょうが。


就職活動の話に戻ると、
はっきり言えば、四年卒業のプランの場合、
三年生の夏には遅くても就職活動の準備を始めないといけません。
近年就職活動の開始時期は早まってきており、遅くても三年の春には
何らかの情報収集などはし始めていないと出遅れてしまう可能性が
あります。


ちなみに新三年生は、
就職活動でいう何年卒になるか知っているでしょうか??






答えは、2010年卒です。


少なくとも情報収集は始めないといけない時期に来ています。

もし時間があったら、いろいろなサイトなどを見てみると
良いと思います。


四期生の役割について書きませんでしたが、
それは彼ら自ら考えてもらうと言うことで(苦笑)


かなり内輪な話になってしまったかもしれませんが、
大学生であれば大学における各学年の役割などを考えるヒントに
なればいいかなと思います。
また、他にもこういう役割はあるんじゃないだろうかという
意見もお待ちしています。




※友達が、三期生は三代目ということで
「家光だね!」と言っていて、上手いこと言うなと思いました(笑)
確かに三代目の家光によって幕藩体制は磐石なものになり、
江戸時代は250年以上続いたわけですからね。
posted by Jack at 05:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このエントリーを含むはてなブックマーク |

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