2008年01月30日

続・北欧の福祉政策とジェンダー この記事をはてなブックマークに登録

では前回に続いて、「北欧の福祉社会とジェンダー」
について考えていきたいと思います。


この前のエントリで、
これは友人から聞いた話なのですが、
ノルウェー人の男性は海外から女性を連れてきて結婚する人が
多いということです。(そして逆は聞いたことがありません。)

と書きました。

それで、その答えを政府による、育児などへの
手厚い保護などによって女性が一人でも働きながら
子供を育てられるようになったために、
男性の稼ぎ手(英語ではbreadwinnerと言います)としての
役割が薄くなったのが原因じゃないのかと思っていたわけです。
そしてだから男性がしたくても結婚できずにいると考えました。


しかし、授業で一緒になったノルウェー人の女性
(学生なんですが結婚しているそうです!)に聞いてみたところ
どうやら別の理由があったようです。

彼女が言うには、男性が結婚出来ないのではなく、
逆に男性がノルウェーの女性では無く他の国の女性と
結婚したいという事情があるそうです。


それはなんでしょうか。


女性が働けるようになると、共働きの家庭が増えました。
しかし女性も働くとなると、家庭では女性が家事や
育児をしつつ働くというのは負担が多すぎるため、
男性も家事や育児を分担する必要が出てきます。
なぜなら家庭における大きな役割が稼ぎ手(breadwinner)
と家事などのハウスワークの二つだからです。
女性が稼ぎ手の役割を担うなら、男性も家事などの
家庭内でも協力するのが当然だと考えられます。
もちろんそのバランスは他人が判断するべきではなく、
当人同士が話し合った上で納得した役割分担が出来ることが
理想だと僕は思います。


北欧では女性の働く機会が増えたのと同時に、
働きたい女性が増えました。こうして女性が働ける状況が
しっかり整ってくると、男性だって家事を分担することが
よりいっそう求められてきます。
中にはすんなり家事を手伝って互いに満足した夫婦生活を
送れる男性もいますが、断固として家事はしたくない、
あるいは家事が出来ないという男性も少なくありません。


あとはもう簡単ですね。


そういう男性は家事をしてくれる女性と結婚したい訳です。
北欧はかなり生活水準が高く、
(国民一人あたりのGDP[GDP per capita]はトップクラスです。)
男性が働き、女性が家事をするという分担でも
十分養っていける状況があるというのもあるのでしょう。
しかし国内の女性は働きたいと思っているし、
家事だけをやりたくない訳ですね。そしたらもう海外から
家事をしてくれる女性を連れてくるしかない!(笑)

ということです。海外に目を向ければ、
まだまだ女性は家庭の中の仕事をやるという位置づけが強く、
北欧ほど女性の社会進出が進んでいない国が多いのもありますね。


もちろん実際にはもっと複雑な事情があるだろうし、
友達から聞いた話なのでこういう話があるのか程度に
受け止めてください。


閑話休題。

でもここで思うのは、男性の妥協も必要なのではないか
ということです。やはりシングルマザーが多いというのは、
母親自身の負担も大きいし、
夫婦で協力(この協力というのが大事!)して育児をする
というのがやはり理想なのではないでしょうか。
男性もこれからは家事が出来るかどうかというのが
結婚を考える上で重要になってくるのかもしれません。


もちろん勘違いしてほしくないのは、男性と女性が仕事を共にし、
共に家事をするというのが理想だと言ってるわけでもないし、
平等であるということでもないことです。
それは夫婦が対話を通じて納得したバランスの分担を
するべきであって、他が決めるものではないでしょう。
お互いに平等だと思えればそれが一番ですから。


じゃあ国家が福祉政策としてどこまで家庭を
サポートしていくのか。これは重要な問題です。
今後考えていく必要があるものです。現時点でのみ言えば、
やはり女性が社会進出するような状況は国が積極的に
整備するべきですが、家庭内における役割分担という部分は
「私」の問題として国があまり関与しない方がいいのかな
というのが率直な印象です。その意味では北欧の政策は
ある部分で行き過ぎてしまっているように感じます。
そしてそれが、前に話したようなノルウェー人男性が
外国人女性と結婚することが多いというところに
結び付けようとした動機だったのかもしれないと
今になって思います。

シングルマザーが多いというのは育児の面から見ると
やっぱりあまり好ましい状況ではないのは
きっと誰もが思っているはずです。家族というのは
構成員が互いに経済的に、あるいは文化・社会的に支えあって
維持していく一つの共同体です。というより「共同体の最小単位」
ではないでしょうか。そして家族の役割には子孫を教育し、
社会人にすることがあるはずです。


だとすれば男女平等というのはもちろん大事ですが、
それを達成するために家族の機能が失われるというのは
あってはならないし、そうならないように注意する必要がある
と言えるのではないでしょうか。


しかし最近では家族のあり方も大きく変化しています。
どのような方向へ向かっているかというと、
核家族化が進んでいるのです。これについてはこれが
良いことなのか悪いことなのか判断が出来ませんが、
考えるためには家族がどういうものであるのかというのを
まず知らなければなりません。
そのアプローチには社会学や文化人類学が使えると考えています。

みなさんもこれを機に、家族、家庭のあり方ってどんなだろう、
あるいは家庭における夫と妻の役割分担はどうだろう
なんてことを是非考えてみてください!


この次はもっと講義に即して、女性の社会進出は具体的に
どうなっているのか、あるいは国の福祉政策の違いを
規模によってタイプ分けしたりすることなんかを扱おうと思います。



※COURRiER+hitomediaのブログ(参照)の方に掲載させていただいている文章を転載、一部このブログのために改変しています。どうぞご了承ください。
posted by Jack at 05:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学・学問 | このエントリーを含むはてなブックマーク |

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